ザークーセレクション

　月色の塔・静かな執務室 。
　机に向かい黙々と仕事をこなすミカエルの目の前に、


ドサドサー！

　突然大量の写真が積み上げられた。

　「な…何だ？」

　 顔を上げるとザクロが誇らしげに構えている。

　「博士！お見合い写真を用意しました！」

　「お…お見合い写真っ!?」思わず叫ぶ。 　
　 こんなに大声で聞き返したのは、文字郎に『 縁側を作ってくれ』 と頼まれた時以来だろうか？

　ザクロが、もっともらしく講義を始める。

　「草食系男子などと言われる昨今、博士は草食を通り越して絶食ですっ!! 絶・食・系・男子っ!!」

　ミカエルの眼前にズームで近寄って来るザクロ。
もはやイライラするなと言う方が無理だ！



　「このまま、絶食していては死んでしまいますからね！このザクロめが博士に釣り合う女性をセレクトして来ました！」

　「………」
無言で積み上げられた写真を見つめるミカエル。


　「どうです？博士。どの女性も皆、頭も良く、家柄も良い………馬面の女性ばかりですっ!!」
　「だから何故、馬面限定なんだっ!?」
　「昔から言うじゃないですか－？馬面の女性に悪い人はいない！」

　イラッ！

　「初耳だ！」
　「一番ダメなのは狐顔の女性です！ましてやサイドテラ出身などは問題外です！」

　「ザクロ！」
　 ミカエルはお節介を通り越して　もはや、迷惑防止条例に引っかかりそうな部下に声を掛ける。
　「そんなに馬面の女性がお気に入りなら、むしろキミが結婚すれば良いじゃないか？」

　 ピキー－ン！
　 固まるザクロ…。

　「は…博士…」

　ぽろぽろ
　目に大粒の涙を浮かべている！
　「ザクロ…?」
　「そーいうのをパワハラって言うんですよーー！うわぁぁ～～!!」

　パカラパカラッ 　
　サラブレットの速さで走り去るザクロ！

　「ザクローーっ!?」

しぃぃ～～～ん。
　 後には鬼の形相で立ち尽くすミカエルと、大量の可愛らしい馬面の写真だけが残されたのであった。